F−15の後継機として、アメリカ空軍発展型戦術戦闘機ATFの研究によって開発された21世紀に就役するアメリカ空軍次期主力戦闘機。
ATFで要求された性能は、高い機動性、アフターバーナー無しでの超音速巡航飛行能力、マッハ2.5以上の最大速度、長い航続距離、ステルス性であった。そして数ある設計案の中からロッキードとノースロップの2社の設計案が採用され、86年に2社が試作機各2機を制作するよう契約された。
そして完成された試作機YF−22は91年からライバルのノースロップ社のYF−23と激しい性能争いを演じ、最終的に見事にアメリカ空軍の正式採用を勝ち取った。しかしその性能審査判定は紙一重で、設計上の方針が裁決の要因となったといわれている。
YF−23に比べると小柄な機体で(でもF−15と殆ど同じくらいのサイズ)、推力変更ノズルであるベクタード・ノズルの装備によって飛躍的な機動性を有しいる。しかもF−15と比べてパワーが30%以上も強力になっており、その分武装搭載量と性能の向上が図られている。
F−22はF−117で得られたステルス技術やファイバー・オプティク・トランスミッションとレーザー・アストロニック飛行制御システムなどの最新のエレトロニクス技術、コンポジェット材を35〜40%も多用し、アルミ合金の割合は35%に押さえて軽量化を図り、エアインテイクを始めあらゆる所にステルス性を付加しており
、台形の主翼、外側に開いた面積の大きい双垂直尾翼、ブレンディドウイングボディの採用、二次元平行ノズル、ミサイル・爆弾等の搭載物は全て機内に収容される等革命的な戦闘機となっている。
F−22の開発には純制空戦闘機としていたので、その後の精密誘導兵器などの付加が要求された為にEMD(技術製作開発)機、9機には主翼下に各2ヶ所のハードポイントが新設されている。しかしこのハードポイントはステルス性の大きな妨げとなってしまう。なのであくまでも機内のウエポンベイに収納できるAIM−120C(F−22搭載専用のフィンを小型化した改良型)とAIM−9Mを用いた制空任務が主任務となる。
しかし、必要時には主翼下のハードポイントに燃料タンクとAAMミサイル2発が搭載可能である。
F−22の量産化にあたっては主翼形状の変更や胴体の短縮、胴体背面のエアブレーキの廃止など各部に改良点が盛り込まれているが、基本的に機体形状差は殆ど無い。F−15の後継機ということもあって、当初はアメリカ空軍750機と海軍の艦上型550機の導入が計画されたが、その後海軍は要求を取りやめ、空軍も339機にまで導入要求を引き下げた。
2002年から部隊配備がされる計画で、2014年くらいまで生産が続くと思われる。重戦闘機のF−22は今後、F−15を使用している西側諸国空軍の後継機として輸出が考えられているが、高額なF−15を導入したのはアメリカ以外で4ヶ国ぐらいしかなかった為、より高額なF−22を導入できる国は殆ど無いであろう。可能性としては日本の航空自衛隊が一番高いと思われる。
F−22 Data 初飛行:1990.9(YF-22)
全幅 |
全長 | 全高 | 総重量 | エンジン | 最高速度 | 航続距離 | 乗員 |
13.5m | 18.9m | 5.0m | 14.3〜27.2t | F119PW-100(AB付)(推力11,700kgクラス)×2 | M2.5(2655km/h) | 約3,700km | 1人 |
武装:20mm機関砲×1、AAMミサイル×10 |